この世代を語る上で見落としてはならない歴史的文脈があります。それは、彼らが教育制度改革の渦中に置かれ、かつて世間から「ゆとり世代の第1陣」という不本意なレッテルを貼られていたという事実です。
2002年の学習指導要領改訂により完全週休2日制が導入された際、中学校2年生だったのが1988年生まれです。ネット掲示板や週刊誌などでは一時、「競争を嫌う」「自主性がない」といったステレオタイプな批判に晒されることも少なくありませんでした。
しかし、実際の彼らが歩んだ道は、そうした安易な世論の偏見を真っ向から覆すものでした。彼らが社会に出る2010年前後はリーマン・ショックの影響が色濃く残る超就職氷河期の只中であり、芸能界やスポーツ界においても成果主義が冷徹なまでに徹底された時期でした。つまり、教育方針としては「個性の尊重」を説かれながら、現実社会からは「冷徹な結果」を突きつけられるという過酷な矛盾の中でサバイバルしてきたのです。このギャップこそが、打たれ強さと独自の現実主義(リアリズム)を鍛え上げ、息の長いプロフェッショナリズムへと昇華された原動力と言えます。