医療社会学の観点から見ると、日本の医療提供体制は「すべての医療を1つの大病院に求める時代」から「機能に応じた使い分けを患者自身が能動的に行う時代」へと完全にシフトしました。巨大病院に何でも依存しようとする行動様式は、患者側には長時間の待機ストレスと割高な選定療養費という代償をもたらし、病院側には本来注力すべき急性期医療の現場疲弊を招くという相互の不利益を生み出します。
健全な医療アクセスのバウンダリー(境界線)を保つために、同センターを受診すべき人と、地域のクリニックにとどまるべき人の客観的判断基準を整理しました。
奈良県総合医療センターの受診が向いている人
- 地域のクリニックから「精密検査が必要」「専門医の確定診断が求められる」と判断され、正式な紹介状を所持している人
- ハイリスク妊娠、合併症を伴う出産、早産の兆候があり、NICUや小児科との強固な連携を前提としている妊婦
- 夜間・休日の突然の激痛、意識混濁、重度外傷など、三次救急レベルの急性期疾患が疑われる緊急患者
- がん治療、心臓カテーテル手術、脳血管障害など、高度な医療機器とチーム医療を要する特定疾患の患者
受診を慎重に再考すべき人(避けるべき人)
- 「風邪気味だから」「軽い湿疹が出たから」と、初期診断も受けずに紹介状なしで大病院を訪れようとしている人(7,700円の選定療養費がかかり、待ち時間も膨大になります)
- 定期的な降圧薬の処方や慢性疾患の経過観察など、かかりつけ医で十分に対応可能なルーティン診療を希望する人
- 「10分以上の待ち時間は耐えられない」と即時対応を最優先に求める人(重症患者が優先されるため、外来待ち時間の発生は避けられません)