バラエティ番組で見せる天然キャラクターの一方で、ガッツ石松氏が日本のスポーツ史・文化史に刻んだ功績は計り知れません。そのキャリアを振り返ると、彼がいかに卓越した勝負師であったかが浮き彫りになります。
極貧からの脱出とWBC世界ライト級王座奪取
1949年(昭和24年)6月5日、栃木県上都賀郡粟野町(現・鹿沼市)に生まれた鈴木有二(本名)少年は、貧困から抜け出すために上京し、ボクシングの世界へ飛び込みました。「ガッツ石松」というリングネームは、「根性(ガッツ)」と江戸時代の侠客「森の石松」にあやかって名付けられたものです。
1974年4月11日、日本大学講堂で行われたWBC世界ライト級タイトルマッチにおいて、絶対的有利と目されていた王者ロドルフォ・ゴンザレス(メキシコ)を相手に、伝説の「幻の右」と呼ばれる鋭いカウンターを炸裂させ、8回KO勝利で見事世界王座を獲得。通算5度の防衛に成功する偉業を成し遂げました。
「ガッツポーズ」という日本語を生んだ歴史的瞬間
世界王者となった1974年4月11日、ゴンザレスをマットに沈めた直後、ガッツ石松氏は両拳を高く突き上げて喜びを爆発させました。この歓喜の姿をスポーツ新聞各社が「ガッツポーズ」と大々的に報道したことがきっかけとなり、勝利や達成の瞬間に両手を掲げる行為そのものを指す言葉として社会に定着。現在でも毎年4月11日は「ガッツポーズの日」として日本記念日協会に認定されています。
黒澤明監督も認めた名優としての顔
現役引退後はタレント活動と並行して俳優業にも本格的に進出。黒澤明監督の映画『影武者』や、リドリー・スコット監督のハリウッド映画『ブラック・レイン』に出演するなど、圧倒的な存在感と哀愁を帯びた演技力で、世界的映画監督たちからも高い評価を獲得しました。