退職を伝えるのが早すぎると職場にいづらくなるのか――その答えは、極めて多くの現場において「イエス」です。善意で早期に伝えた社員が直面する最大の落とし穴が、退職によるボーナス減額と、申し出の直後から始まる組織内の冷遇です。
賞与(ボーナス)の査定には、過去の実績に対する「精算」だけでなく、今後組織でどう貢献してくれるかという「将来への期待値」が暗黙のうちに含まれています。多くの企業において就業規則上の支給日に在籍していれば受給権自体は生じるものの、査定期間直前や支給前に退職を明言してしまうと、考課権を持つ上司の裁量によって査定ランクを最低水準まで引き下げられるリスクが跳ね上がります。労働弁護士や労務問題の専門家も「支給日を過ぎ、口座に着金が確認されるまでは退職の意向を明かさないのが自衛の鉄則」と一貫して警鐘を鳴らしています。
金銭面だけでなく、精神的な負荷も急増します。退職を公にした瞬間から、主要プロジェクトのミーティングから露骨に外されたり、重要な情報共有の連絡網から漏らされたりする現象、いわゆる「社内村八分」が始まります。中には同僚から「もう辞める人だから」と距離を置かれ、退職申し出後の職場での気まずさに耐えかねてメンタルを崩してしまう例も珍しくありません。良かれと思った「早期の告白」は、会社側からすれば「組織の結束を乱す存在」というレッテルを貼る口実になりかねないのです。