金沢の奥座敷、湯湧温泉で広がりを見せる「湯湧ぼんぼり祭り」は、極めて画期的な成り立ちを持つ現代の行事だ。アニメーション制作会社のP.A.WORKSが手がけた人気アニメ作品『花咲くいろha』の劇中に登場する架空のお祭りが、ファンと地域住民の情熱によって現実の祭礼へと昇華した。アニメの世界観がそのまま温泉街の情緒と重なり合う光景は、コンテンツツーリズムの成功例として高い評価を得ている。
来訪者が神様への願い事を記した「のぞみ札」を下げ、明かりを頼りに夜の温泉街を静かに行進する神事は、回を重ねるごとに厳かさを増してきた。架空のストーリーから芽生えた文化が、地域に根差す本物の伝統として育ち、世代や国境を超えた人々を惹きつける原動力となっている。