一方、日本が開発を進める主力大型ロケット「H3」にとっても、この東アジアのライバルの動向は無視できない。H3ロケットは、静止トランスファ軌道への打ち上げ能力向上と、従来のH-IIAから大幅なコスト削減を目指して運用が続けられている。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)および三菱重工は、信頼性とコストパフォーマンスの双方で世界市場に食い込む足がかりを探っている。
だが、中国が国策として巨額の資本とリソースを注ぎ込むスピード感は圧倒的だ。打ち上げ基盤の集約と高度な量産体制によってコストを下げる中国の手法に対し、日本の宇宙産業がどのような独自価値(打ち上げ精度の高さ、ミッション柔軟性、堅牢なサプライチェーンなど)を提示できるかが問われている。アジアにおける自立的な輸送手段の維持は、単なる経済活動を超えた安保上の課題である。