ジャクソンリース回路の事故を防ぐ最大の防壁は、患者接続前の「始業前点検(リークテスト)」です。非常にシンプルな構造ゆえに、接続部のわずかな緩みや弁の組み立てミスが致命的な換気不能を引き起こします。
始業前リークテストの標準手順:
1. 外観確認:チューブの亀裂、リザーバーバッグの破損、コネクタ部のゴミ付着がないかを確認する。
2. 閉塞テスト:患者接続部(Yピースやコネクタ先端)を用手的に清潔な手やキャップで完全に塞ぐ。
3. ガス送気と加圧:酸素フラッシュまたは新鮮ガス(約3〜5 L/分)を流し、APL弁を全閉にする。
4. リーク・耐圧確認:リザーバーバッグがしっかり膨らみ、圧が保持されるかを確認(回路内に漏れがないことを実証)。
5. 弁の開放テスト:APL弁をゆっくり開け、スムーズにガスが排出されてバッグが適度にしぼむか(弁の固着がないか)を確かめる。
臨床現場での看護チェックポイントとトラブル対応:
・バッグが急激にパンパンに膨らむ場合:APL弁の締めすぎ、または余剰ガス排出チューブの屈曲・閉塞が疑われます。放置すれば気圧外傷に至るため、即座にAPL弁を全開にし、回路の接続を点検します。
・バッグがペシャンコに虚脱する場合:新鮮ガス流量の供給停止、酸素配管の脱落、あるいは患者接続部の大きなリーク(外れ)が考えられます。直ちに酸素配管とガス流量計を確認し、必要に応じてバックアップの自己膨張式バッグ(バッグバルブマスク)に切り替えます。
・病棟・手術室間での患者搬送時:搬送用酸素ボンベの残量確認を必ず行い、移動中の振動で回路接続部が緩んでいないかを絶えず目視確認します。