道志村の現場周辺は、標高差が大きく急斜面と複雑な沢が入り組んだ非常に厳しい自然環境だ。大雨や台風などの気象変化による土砂崩れ、積もった落葉の流失、そして激しい水流は、地表にある物体を容易に下流や谷底へと押し流す。美咲さんの遺骨や身の回りの品々が数百メートル離れた複数の地点から見つかった背景には、長年にわたるこうした自然現象の力学が深く関与していると見られている。
傾斜角度が40度を超える崖下は、人間が安全に立ち入ることすら困難な場所だった。急勾配の斜面を転がり落ちた遺留留品が激しい風雨に晒されることで、生地が徐々に破断し、歳月の経過とともに分散していった可能性はきわめて高い。