劇中でメイに捕まり、手のひらを黒く染めたあの生き物の作中における正式名称は「ススワタリ」だ。設定上、彼らは人が住まなくなった古い屋敷や、日当たりの悪い湿った場所に群がり、家が傷むのを防ぐかのようにひっそりと暮らす一種の精霊・妖怪のような存在とされている。
おばあちゃんの台詞にある通り、家の中に人が住み始めて笑い声が響くようになると、いつの間にか天井の隙間から空へと逃げていく。恐ろしい怪物ではなく、人間の生活の温もりに押し出されるように姿を消す無害な居候なのだ。何もない空間にふっと現れては消える描写は、古い家屋特有の空気の揺らぎや埃の動きを、子どもの純粋な視点を通して具象化したものと言える。