この俗説を補強するために使われてきたのが、戦国時代から江戸時代にかけての歴史的エピソードだ。とりわけ著名なのが、歴史上の英傑たちに紐付けられた物語である。
仙台では、名将・伊達政宗が戦乱の世で美女が他国へ流出するのを防ぐため、あえてブスばかりを城下に残したという奇妙な説が語られてきた。一方の名古屋に関しては、天下を治めた徳川家康が名古屋城築城や江戸開府にあたり、各地から美女を江戸へ連れ去ってしまったからだという説が流布した。さらに水戸においても、水戸徳川家が江戸と水戸を頻繁に行き来する中で同様の噂が捏造された。
これらは一見すると歴史的リアリティがあるように聞こえる。しかし史実としての裏付けは一切ない。後世の人々が都市の格式と噂を結びつけ、面白おかしく後付けのストーリーを作り上げたのが真実だ。