「体調に問題がないから」「数値が一時的に下がったから」という理由で、医師に相談せず降圧剤を突然やめるとどうなるのか。循環器専門医の茂澤院長をはじめとする臨床医の報告によると、外来を訪れた段階で「気づいたときには心臓や血管に取り返しのつかない変化が起きていた」というケースは後を絶ちません。
高血圧治療薬を急激に絶つと、体内では降圧剤のリバウンド症状と呼ばれる現象が発生します。薬によって人工的に拡張されていた血管が急速に収縮し、以前よりもさらに高い危険水域まで血圧が跳ね上がるのです。特にβ遮断薬やα遮断薬、交感神経抑制薬などを急激にストップした場合、激しい動悸や頭痛、胸痛、冷や汗を伴う高血圧緊急症を引き起こすリスクが高まります。
高血圧の真の恐ろしさは「自覚症状のなさ(サイレントキラー)」にあります。薬をやめて直後に何の痛痒も感じないからといって、体内が無事なわけではありません。高圧力に晒された脳の微小血管が破綻して起こる脳出血、冠動脈が閉塞する急性心筋梗塞、腎臓のろ過機能が失われる慢性腎不全など、降圧剤の中断の危険性は生命やその後の生活の質(QOL)を根底から破壊しかねない脅威を孕んでいます。