本作を語る上で避けて通れないのが、のちにフジテレビジョン系列で制作され社会現象となった連続ドラマ版との対比だ。ドラマ版では沢尻エリカが主演を務め、フィクションのボーイフレンド役を配するなど、青春ドラマとしてのドラマツルギーが前面に押し出されていた。感情を揺さぶる劇伴や劇的な構成が、多くの視聴者の涙腺を決壊させたことは記憶に新しい。
対照的に、映画『1リットルの涙』で主演の大西麻恵が見せた佇まいは、徹底した写実主義に貫かれている。彼女は劇中でヒロインの身体が徐々に自由を奪われていくプロセスを、呼吸の一つ、指先の震え一つに至るまで克明に体現した。劇映画でありながら、どこかドキュメンタリーの質感すら漂う映像世界は、観る者に傍観者であることを許さない迫力に満ちている。