都市伝説の論者たちが最大の論拠として挙げるのが、デイサービスセンター「ひまわりの家」の利用者たちの変貌です。物語の前半、リサが介護職員として働く施設のおばあちゃん達は、自力歩行が困難で車椅子を必要としていました。しかし終盤、海底ドームのような空間に避難した彼女たちは、車椅子を完全に手放し、宗介のもとへ元気に駆け寄ってきます。
このポニョ老人ホーム歩ける理由について、「肉体の制約から解き放たれた=すでに全員が亡くなって霊魂になった証拠」と解釈する声は後を絶ちません。グランマンマーレが作り出した光のドーム内では、空気の膜に包まれているとはいえ、物理的な法則が完全に無視されています。衰えていたはずの足腰が突如として若々しさを取り戻し、満面の笑みで走り回る光景は、極楽浄土や天国における「魂の救済」の描写と酷似しています。
さらに疑惑を深めたのが、リサと海の母グランマンマーレが水底で交わした密談の内容です。二人が何を話し合っていたのかは作中で具体的に明かされず、ただリサが神妙な面持ちでそれを受け入れ、宗介を送り出す決意を固める姿だけが描かれます。母親が命を差し出す身代わりの契約を結んだのではないか、あるいは現世への生還を諦めた密約ではないかといった憶測は、この意図的な省略によって加熱することとなりました。