作詞は宮史郎自身がペンを執り、作曲は並木ひろしが手掛けました。冒頭の「私がささげた その人に あなただけよと すがって泣いた」というフレーズに象徴されるように、愛した男性に裏切られながらも未練を断ち切れない女性の情念と悲哀が生々しく描かれています。
単なる怨み節に終わらない理由は、並木ひろしによる計算された哀愁のマイナーコード進行と、宮史郎の強烈な歌唱力にあります。パンチパーマに細眉、黒縁眼鏡というインパクト抜群の風貌から繰り出される、喉を絞り出すような独特のコブシとハイトーンボイスは、聴き手の胸に直接突き刺さる説得力を放っていました。
夜の街に生きる人々の孤独と哀歓をストレートに掬い取った言葉の数々は、高度経済成長期の影で懸命に生きていた多くの庶民の心を捉え、昭和の名曲演歌としての地位を決定づけました。