物語の幕引きを飾るスピッツの主題歌「ときめきpart1」の存在も、本作を語る上で欠かせない。草野マサムネの透き通るハイトーンボイスがエンドロールに響き渡った瞬間、それまで張り詰めていた劇場の空気が一気に解凍されていく。
「ときめき」という一見無邪気な言葉が、過去に縛られて立ち止まっていた千紗の再生と重なり合う。決して完全なハッピーエンドではない。親の罪が消えるわけでもない。それでも、明日へ向かって一歩だけ足を踏み出す。その不器用な肯定を、スピッツの軽やかなリズムとアコースティックな響きがそっと背後から後押しする。劇中の沈黙と、音楽の調べ。このふたつのコントラストが、鑑賞後の胸に心地よい余白を残す。