木や竹を用いた本格的な弓作りにおいて、初心者が最も陥りやすい失敗は「引いた瞬間にバキッと真っ二つに折れる」現象です。この破損を防ぎ、強い反発力を生み出す鍵は「ティラリング(Tillering)」と呼ばれる削り調整作業にあります。
弓には「背(射るときに外側・標的側を向く面)」と「腹(射手側を向く面)」があります。弓を引いた際、背には強い「引っ張り応力」が、腹には「圧縮応力」がかかります。弓作りにおける鉄則は、背側の繊維は絶対に傷つけず、腹側のみを少しずつ削って曲がり具合を均一に整えることです。
💡 プロが実践するティラリングの3ステップ- 素材の選定:節が少なく、木目がまっすぐ通った堅木(ヒッコリー、ナラ、ホワイトアッシュなど)や、繊維密度の高い真竹(マダケ)を選ぶ。生木は水分が多く反発が弱いため、十分に乾燥させた材を使用する。
- 外形の荒削り:中央のグリップ部分を一番厚く残し、両端(ティップ)に向かって徐々に薄く・細くなるよう「テーパー(傾斜)」をつけて削る。
- しなりの微調整(フロアティラリング):弓の先端を床に当て、グリップを押し込んでしなりを確認する。曲がりにくい硬い部分の「腹側」だけを小刀やカンナ、サンドペーパーで削り落とし、美しい円弧を描くまで左右対称に追い込む。
伝統的な日本の和弓は、外側に竹、芯材にハゼノキやヒノキを挟み込み、植物性の接着剤(にべ)で張り合わせる高度な複合構造(コンポジットボウ)で作られています。初心者が竹弓の自作に挑戦する場合、まずは一本の厚みのある竹の内側(肉厚部分)を削り、単一素材でしなりを生み出す「単弓(セルフボウ)」の構造から取り組むのが確実です。