夜の街を歩けば、グラスから発せられる神秘的な青い光に目を奪われる。スマートフォンの画面越しに広がるその光景は、もはや単なる「映え」の領域を超えている。動画主体のプラットフォームでは、酸度の変化によってグラデーションを描きながら紫へと変化するカクテルの動画が日々トレンドを更新中だ。視覚的なカタルシス。それこそが、現代人がバーの扉を叩く最大の動機になっている。
「お客様が求めているのは、飲む前のワクワク感なんです」と、六本木の人気ミクソロジーバーでチーフバーテンダーを務める人物は語る。「暗がりの中で青く発光するグラスは、それだけで特別な夜の始まりを予感させる。写真一枚で言葉以上の空気感が伝わる時代だからこそ、青が持つ圧倒的な存在感が刺さるのでしょう」。静寂と神秘、そして少しの非日常。青いリキッドは、忙しない日常を生きる都会人にとっての一時的な避難所なのかもしれない。