どれほど警戒していても、不審者との遭遇を完全にゼロにはできない。重要なのは、違和感を覚えた瞬間に身体が自動的に反応するよう、初動のシミュレーションを頭の中で繰り返しておくことだ。
背後に不自然な足音や気配を感じた場合、立ち止まって振り返るのではなく、斜め前方に素早く視線を配りながら道路の反対側へ渡るなど、間合いを強制的に広げる。相手が距離を詰めてきた場合は、迷わず防犯ブザーを作動させ、躊躇なく大声を発する。「助けて」という抽象的な叫びよりも、「火事だ!」「警察を呼んで!」といった周囲の住民が窓を開けたくなる具体的なキーワードの方が、第三者の介入を引き出しやすい。
相手と対峙せざるを得ない距離まで詰められた場合は、両手を胸の前に掲げて防御姿勢を取りつつ、斜め後方へ後退しながら光のある方向、車の往来がある方向へと全速力で退避する。持ち物を相手の足元へ投げつけて視線を逸らすのも、脱出の数秒を稼ぐための有効な戦術だ。