第10代王・燕山君の治世を揺るがした張緑水(チャン・ノクス)は、賤民である奴婢の身分から歌舞の才能によって王の側室にまで上り詰めた人物だ。母性飢餓に苦しんでいた暴君・燕山君の心を掌握し、その寵愛を背景に国政へ介入。私利私欲のために官職を売り買いし、国庫を傾かせたと伝えられる。
彼女の裏工作は、宮廷内の秩序を徹底的に破壊した。燕山君の狂気的な粛清劇を煽り、自らの反対勢力を排除し続けた結果、中宗反正(クーデター)によって王宮は陥落。クーデター軍に捕らえられた張緑水は、怒りに震える民衆の前で首を撥ねられ、その遺体には大量の石が投げつけられたという。欲望の果てに待っていたのは、あまりにも惨酷な報いであった。