土俵から目と鼻の先。わずか数メートルの距離に設置された溜席は、通称「砂かぶり席」とも呼ばれる。その名の通り、激闘の最中に力士が蹴り上げる砂が客席まで飛んでくるほどの至近距離だ。照ノ富士春雄をはじめとする大型力士が激突した瞬間、「バシッ」と鈍い音が館内に響き渡り、空気が一瞬で緊張感に包まれる。
単なる観戦席ではない。ここは大相撲という神事と伝統武道の息吹を、五感すべてで受けて立つ特別な舞台だ。近代的なプロスポーツ興行へと進化を遂げた現代においても、土俵際の熱気に直に触れられるこの場所の価値は、他のスポーツのVIPシートとは一線を画している。