ドラマの影響で「刑事といえばヨレヨレのトレンチコートに身を包み、常に懐に拳銃を忍ばせている」というイメージが定着していますが、実態は大きく乖離しています。
まず「刑事の私服の理由」は、捜査活動の秘匿性と情報収集の効率化にあります。制服姿の警察官が住宅街や歓楽街を聞き込みに回れば、目立ちすぎて周囲に警戒心を抱かせ、捜査情報が犯人側に漏洩しかねません。街の雑踏に完全に溶け込み、一般市民から自然な形で証言を引き出すために私服の着用が義務づけられているのです。近年ではスニーカーに機能的なビジネススーツ、あるいは作業着風のアウターを臨機応変に使い分けるケースが主流となっています。
さらに意外と知られていないのが「刑事の拳銃携行」に関する厳格な規定です。制服の警察官は勤務中に拳銃を腰に常時帯革で装着していますが、刑事は日常的な聞き込みや張り込み、デスクワークの際に拳銃を持ち歩くことは基本的にありません。都道府県警察の拳銃使用および取扱い規程により、拳銃は警察署内の管理室(武器庫)に厳重に保管されており、被疑者の身柄確保(ガサ入れ・突入作戦)や重大凶悪事件の緊急出動など、明確な危険が予測される特定の任務時のみ、署長等の許可を得て持ち出しが認められます。日常的に拳銃を携行しないのは、誤射や盗難・強奪のリスクを最小限に抑えるための徹底した組織防衛策でもあります。