女性外来や一般内科において、「めまい・ふらつき」を訴える患者の比率は男性の約1.5倍から2倍に達します。めまいやふらつきの原因が女性に多い理由の根底には、女性ホルモン(エストロゲン)の劇的な分泌変化と血液循環の特徴が存在します。
40代後半から50代にかけて発症しやすい更年期障害によるめまいやふらつきは、卵巣機能の低下に伴うエストロゲンの急減が原因です。自律神経中枢を司る視床下部がホルモンの減少に過剰反応し、血管の収縮・拡張コントロールが乱れることで、脳血流が不安定化します。のぼせや動悸(ホットフラッシュ)とともに生じる浮動感が典型例であり、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬(加味逍遙散、当帰芍薬散、苓桂朮甘湯など)によるアプローチが効果を発揮します。
若い世代から閉経前にかけては、貧血に伴うめまい症状や血圧低下による立ちくらみが主因となります。月経による慢性的な出血や過度なダイエットにより、ヘモグロビン濃度や貯蔵鉄(フェリチン)が低下すると、脳組織へ十分な酸素が供給されず眼前暗黒感や失神感を誘発します。対策としては、食事療法や鉄剤の服用に加え、急に立ち上がらない「起立動作の工夫」、下半身への血液貯留を防ぐ弾性ストッキングの着用や十分な水分・塩分補給が指導されます。