住宅業界において、住宅性能表示制度における断熱等性能等級のヒエラルキーはここ数年で根底から覆りました。事態の大きな転換点となったのが、断熱等級4の省エネ基準義務化(2025年4月施行)です。改正建築物省エネ法により、原則としてすべての新築住宅に対して断熱等級4への適合が義務づけられました。
長らく日本の住宅市場において、断熱等級4は「次世代省エネルギー基準(平成11年・1999年制定)」を満たす最上位クラスとして扱われてきました。多くのハウスメーカーや建売分譲会社が「最高等級クリアの省エネ住宅」と大々的にアピールしていた時代を記憶している方も多いはずです。しかし、2022年4月にZEH水準に相当する断熱等級5が新設され、同年10月にはさらに上位の等級6・等級7が追加されたことで、勢力図は一変しました。
国土交通省の政策ロードマップが示す通り、2025年の義務化によって等級4は「誇るべき高性能」から「建ててよい最低ライン(赤点回避の基準)」へとその座を落としました。さらに政府は、2030年までに新築住宅の基準を断熱等級5(ZEH水準)へ引き上げる方針を明確に打ち出しています。つまり、現在新築を建てる施主にとって、等級4の選択は数年後に「既存不適格に近い型落ち仕様」を抱え込むリスクと隣り合わせであることを意味しています。