九州の海を訪れた旅行者が口を揃えて驚くのが、視界数十メートル先まで見通せる圧倒的な透明度です。環境省が毎年実施している全国水質調査において、九州・沖縄エリアの主要ビーチは最高水準である「水質AA(特に良好)」を多数獲得しています。しかし、なぜ九州の海はこれほどまでに青く透き通っているのでしょうか。そこには海流と地形、そして砂の成分という3つの決定的な要素が存在します。
第1の要因は、外洋からダイレクトに清浄な海水を供給する対馬海流と黒潮の分岐流です。東シナ海から日本海へと抜ける強い海流が絶えず沿岸の海水を循環させるため、生活排水や有機物が滞留しにくく、驚くほどの水質が維持されます。
第2の要因は、複雑に入り組んだリアス海岸や無人島群が波のエネルギーを分散させ、海底の泥を巻き上げない地形的シールドの役割を果たしている点です。そして第3に、長崎の五島列島や壱岐島、鹿児島の島嶼部に見られる砂浜の多くが、石英や貝殻片を主成分とする不純物の極めて少ない白砂で形成されていることです。太陽光が海底の白砂に乱反射することで、南国特有の鮮烈なコバルトブルーからエメラルドグリーンのグラデーションが生まれます。