ドリーというキャラクターに命を吹き込んだ声優陣の功績も無視できない。英語版で声を演じたエレン・デジェネレスは、即興劇を思わせる独特の間とナチュラルな語り口で、キャラクターに圧倒的な実在感を与えた。彼女のトークショーで見せた軽妙なテンポ感にインスピレーションを受けたスタントン監督が、直々にオファーを出したという逸話は有名だ。
一方、日本語吹き替え版で圧巻の演技を見せたのが女優の室井滋だ。単に英語版をなぞるのではなく、喜怒哀楽の振れ幅が大きいドリーの感情曲線を見事に日本語のニュアンスへ昇華させた。彼女が吹き込んだ哀愁とユーモアの絶妙なバランスは、日本の観客の心に深く刺さり、アニメーション映画産業における日本語吹き替えの金字塔として今なお語り継がれている。