平成から令和への皇位継承は、明仁(上皇)の国民への語りかけから始まった。長年にわたり象徴としての務めを果たしてきた上皇が、自らの高齢化と象徴天皇としての責務について言及されたことは、多くの国民の共感と理解を呼んだ。
その後を受け継がれた徳仁(今上天皇)は、国際経験の豊富さと温厚な人柄をもって、新しい時代の天皇像を築かれている。水問題を中心とする環境研究者としての顔を持ちながら、国民の喜怒哀楽に寄り添う姿勢は、上皇から受け継がれた皇室の伝統を確実に現代へとつないでいる。
宮内庁の調整のもとで行われた一連の継承プロセスは、伝統を守り抜く厳格さと、現代社会の法秩序や国民感情との調和という二つの課題を同時にクリアする試みであった。二代にわたる天皇の歩みは、開かれた皇室のあり方を世界に提示する機会となった。