彼女のキャリアを語る上で絶対に外せない作品が、江戸川乱歩原作のサスペンス映画『失恋殺人』だ。これまでの爽やかなイメージを完全に脱ぎ捨て、愛憎の情念に身を投じる主役を見事に演じきった。官能的でありながら、どこか物悲しさを漂わせるその演技は、映画批評家たちからも高い評価を獲得した。
日本映画界において、清純派イメージからの脱却は多くの女優にとって高いハードルとなる。だが彼女は、体当たりの演技と繊細な心理描写で見事にその壁を粉砕した。歪んだ情念に苦悩する女の業を表現したこの作品によって、単なる人気女優から「一本の映画を背負える実力派」へと鮮やかに脱皮を遂げたのだった。