今日、メディア環境の激変もこの心理現象を後押ししている。NetflixやHBOといった大手ストリーミングサービスでは、人間の愛憎劇や精神的闇を掘り下げたコンテンツが世界的な人気を博す。視聴者は画面の中の凄惨なドラマに共感し、時には自らの生活空間にその情動をフィードバックさせてしまう。
さらにSNSの普及は、「不幸の可視化」に拍車をかけた。タイムライン上で自らの不遇や傷つきやすさを発信すれば、瞬時に同情のコメントが集まる。デジタル空間において不幸は消費され、時には強力な承認欲求獲得のツールと化す。SNS上の「承認のバブル」が、被害者であり続けたいというインセンティブを強化してしまうのだ。