原因の一端は、現代のラーメンを取り巻く環境の変化にある。2020年代半ばを過ぎた現在、日本のラーメンシーンは「超濃厚」「ドロ系」「極太麺」が主流だ。日常的に刺激の強いスープを食べている世代が棒ラーメンを一口すすると、最初に抱く感想は「薄い」「物足りない」になりがちだ。
マルタイのスープは、鶏ガラと豚骨をベースに野菜の旨味を丁寧に重ねたクリアな味わい。昭和30年代に完成された、毎日食べても飽きない優しいバランスを目指している。濃厚豚骨のギラギラした油分や強烈なニンニク風味を期待して口にすると、その素朴さが拍子抜けに感じられてしまうのだ。