物語の核心に横たわるのは、「不老不死」という普遍的かつ恐ろしいテーマだ。大切な存在を失いたくないという純粋な願いが、いかにして狂気へと変貌していくのか。セイレーンと島民、そして怪異たちの間で繰り広げられる執着の連鎖は、観る者の倫理観を激しく揺さぶる。
ちいかわ、ハチワレ、うさぎの3人が置かれた状況は、常に「他者の犠牲のうえに立つ平穏」という過酷な現実だ。誰かの幸せが誰かの地獄によって成り立っているという構造を、ポップな世界観の裏で描き切るナガノ氏のストーリーテリングには脱帽するしかない。鑑賞後、甘い余韻ではなく胸を締め付けられるような切なさが残る理由がここにある。