「既存の店舗網と厨房設備を最大限に活かしながら、夜間や男性客の需要をさらに深掘りできないか」。この問いからスタートしたのが、二つの看板を掲げる併設ビジネスモデルだ。手掛けたのは、江戸切りそばチェーンを展開する株式会社ゆで太郎システム。社長の水信春夫氏が主導したこの戦略は、外食産業における店舗運用の常識を心地よく裏切ってみせた。
蕎麦のピークタイムは主に朝から昼にかけて集中する。一方、ガッツリとした肉料理や酒の肴は夕方から夜にかけて需要が高まる。厨房のフライヤーやコンロの稼働率を限界まで高め、同じ敷地で異なる客層を呼び込む。この計算し尽くされたオペレーションこそが、短期間での爆発的ヒットを支えた最大の舞台裏である。和食ファストフードの枠組みを再定義した革新と言っていい。