瓶の底から立ち上る細かな泡の正体は、酵母菌によるアルコール発酵に伴う炭酸ガスである。青梅の表面には目に見えない微生物が無数に生息しており、梅のエキスが浸出して室温が25度を超えてくると、彼らにとって理想的な増殖環境が完成してしまう。氷砂糖が完全に溶け切る前にエキス濃度が薄い状態が続くと、菌は一気に糖分を餌にして活動を激化させる。
発酵食品として親しまれる味噌やワインと同じ原理とはいえ、梅シロップにおいて放置された過度な発酵は風味を大きく変質させる。放置すれば酸味が強くなり、アルコール度数が上がって本来の爽やかな清涼感が損なわれてしまう。だからこそ、異変に気づいた初期段階での迅速な見極めと介入が求められるのだ。