では、家庭で居酒屋レベルの感動を味わうための正解とは何か。都内の割烹料理店で腕を振るう板前・佐々木氏に、旨味を劇的に引き出す黄金比率を単独取材した。プロが提示した基本の比率は、「サーモン100gに対し、塩昆布は5〜6g」。昆布が多すぎると魚の繊細な脂の甘みがマスキングされ、少なすぎると脱水効果が弱まるという。
「最大のポイントは、和えたあとにラップをして冷蔵庫でちょうど7分間寝かせることです」と佐々木氏は語る。「浸透圧でサーモン表面の余分な水分が昆布に移り、同時に昆布のグルタミン酸がサーモンの身へと移流します。そして、ここからがプロの隠し味。仕上げに『数滴の純米酢と煎り酒』、手に入らなければ『レモン果汁数滴とごく少量の白ごま油』を落としてみてください。油分で香りを閉じ込めつつ、わずかな酸味がサーモンの脂っぽさを断ち切り、信じられないほどのキレが生まれます」
実際に試してみると、口当たりはねっとりと濃厚でありながら、後味は驚くほど爽快。まさに計算し尽くされた味覚の設計図がそこにあった。