老舗百貨店である三越伊勢丹の食品フロアを歩けば、中央の目立つブースに鎮座するその姿を誰もが一度は目にしたことがあるはずだ。埼玉銘菓の代表格として確固たる地位を築き、株式会社トミゼンフーヅが丹精込めて製造するこの菓子は、半世紀近くにわたり日本のギフトシーンを牽引してきた。
それにもかかわらず、ソーシャルメディアや検索エンジン上では定期的にネガティブな言説が噴出する。背景にあるのは、情報が瞬時に拡散される現代特有の消費構造だ。自分で選んで買ったわけではなく、「職場の引き出物」や「お中元のお裾分け」として偶然口にした層が、事前の期待と実際の風味とのギャップに違和感を覚え、ストレートな不満をテキストとして放流している現実がある。
贈る側にとっては「無難で美しい高級菓子」であっても、受け取る側の嗜好や事前の知識次第では、その評価が180度反転してしまう。このコミュニケーションのすれ違いこそが、悪評を生み出す最大の温床となっているのだ。