ポスト印象派の絵画解説において、本作の最大の特徴として挙げられるのが、青と黄色の鮮烈な補色対比です。ゴッホは夜景だからといって単なる黒や濃紺で塗りつぶすことを拒み、プルシアンブルー、コバルトブルー、ウルトラマリンといった多彩な青を重ね合わせることで、深みのある夜空を構築しました。
その冷徹な深い青に対峙させるように配置されたのが、アルルの街に灯るガス灯と星々の放つ温かなゴールドイエローです。川面に長く尾を引く街灯の反射光は、チューブから直接絞り出した絵の具をキャンバス上で混ぜ合わせるような、厚塗りのインパスト技法によって立体的に描かれています。
絵筆のタッチ(筆触)は星を中心として放射状に広がり、光の粒子がまるで夜空に脈動しているかのような視覚効果を生み出しています。物理的な暗闇を描くのではなく、闇の中に存在する光のエネルギーを視覚化した点こそ、ゴッホが近代美術に与えた革命でした。