本シリーズを語る上で、助演として最多出演を誇り、作品の屋台骨を支え続けたかたせ梨乃の存在を外すことはできません。第1作で演じた池真知子役をはじめ、彼女が見せた大胆な濡れ場や背中に刻まれた見事な刺青(ペイント)、そして壮絶な死に様は、観客の脳裏に強烈なインパクトを残しました。
メガホンを取った名匠・五社英雄監督の現場は、一切の妥協を許さない過酷を極めたものでした。当時のスタッフや出演者の証言によると、刺青のペイントには連日4時間以上を要し、真冬の京都太秦撮影所であっても肌を露出したまま長時間の撮影が行われたといいます。かたせ梨乃自身も後年の回顧録や特番インタビューにおいて、「五社監督からは『本物の女の情念をスクリーンに焼き付けろ』と怒号が飛んだ。あの極限状態があったからこそ、女優としての覚悟が定まった」と語っています。
また、原作者・家田荘子による命がけの潜入取材も映画のリアリティを底上げしました。ノンフィクション作家である家田氏が実際に暴力団組長の妻たちに単独インタビューを重ね、彼女たちの本音、掟、そして悲哀を克明に記録した原作本は、映画化に際しても脚本の骨子として強烈なリアリズムを吹き込みました。第1作には家田荘子自身も組員の情婦役として出演しており、作品が放つ本物の迫力に寄与しています。