ネット上のQ&AサイトやSNSで最も多く見られる誤認が、「ETC 2030年問題によって、ETC1.0(従来型)は2030年までにすべて使えなくなる」という言説です。国土交通省やITS Japanの公式発表資料を精査すると、この主張が事実無根であることがはっきりと分かります。
2030年問題の本質は、ETCのバージョン(1.0か2.0か)ではなく、ETCセキュリティ規格変更にあります。ETCシステムでは、利用者の決済情報や通信を保護するために暗号化技術が用いられていますが、将来的な暗号解読技術の向上に備え、より強固な暗号を用いた「新セキュリティ規格」への全面移行が計画されています。この移行リミットが「最長で2030年頃」とアナウンスされているのです。
ここで決定的なのは、新セキュリティ規格に対応した従来型ETC(1.0)車載器が数多く存在するという事実です。つまり、「従来型ETCだから2030年に使えなくなる」のではなく、「旧セキュリティ規格で作られた古い車載器が、1.0・2.0を問わず使えなくなる」というのが正確な技術的実態です。
現在使用している車載器が2030年以降も使えるかどうかは、車載器本体に記載された19桁の「車載器管理番号」で判別できます。番号の先頭の数字が「1」から始まっていれば新セキュリティ対応機であり、ETC1.0であっても2030年以降そのまま使い続けることが可能です。一方、先頭が「0」から始まっている場合は旧セキュリティ機であるため、将来的に使用できなくなります。まずはご自身の車載器番号を確認し、根拠のない買い替え不安を払拭することが第一歩です。