初代『ドラクエ1』の制作において最大の壁となったのは、ファミリーコンピュータ用カートリッジの極小な容量制限でした。使用できた容量は、わずか64KB(キロバイト)。現代の高画質写真1枚の数百分の1に満たない極限空間に、マップ、モンスター、音楽、そしてテキストのすべてを詰め込む必要がありました。
ゲームデザイナーの堀井雄二氏は、当時のインタビューや自著において「文字コードに使うカタカナすら20音程度に厳選し、容量を削り出した」と述懐しています。濁点や半濁点を1文字としてカウントしない工夫や、「ゆうてい みやおう きむこう...」で知られるパスワード入力方式「ふっかつのじゅもん」の採用など、制約を逆手に取った独創的なアイデアが随所に散りばめられました。
さらに、漫画家・鳥山明氏によるキャッチーなキャラクターデザインと、作曲家・すぎやまこういち氏によるクラシック調の勇壮なオーケストラサウンドが融合。チュートリアルを兼ねた「王様の部屋から始まる構造(右も左もわからないプレイヤーに扉を開けさせ、階段を降りさせる設計)」など、人間工学に基づいた秀逸なゲームデザインが、RPG未経験の少年少女たちを虜にしました。