海外ニュースの英語音声に対して「速すぎて聞き取れない」「語彙が難しすぎて挫折した」という壁にぶつかる日本人は後を絶ちません。しかし、トランプ氏の記者会見や集会演説を聞いた瞬間、その壁がふっと消え去るような感覚を覚える学習者が多く存在します。その最大の理由は、中学生レベルの平易な英単語が会話の根幹を占めている点にあります。
トランプ氏が多用する言葉を抽出してみると、「great」「bad」「big」「strong」「win」「smart」といった、誰もが義務教育の初期段階で習う基礎単語が全体の大部分を占めています。高度な学術用語や抽象的な名詞、迂回的な言い回しはほとんど登場しません。主語と動詞が直結した「S+V+O」や「S+V+C」の短い文が連続するため、聞き手は文末まで待たずに冒頭の数語で意味の骨子を瞬時に把握できます。
さらに見逃せないのが、聞き取りやすい理由の物理的側面である「発話スピードと音の区切り」です。一般的なアメリカの政治家やニュースキャスターは1分間に約150〜170語(WPM: Words Per Minute)のスピードで話しますが、トランプ氏のラリー(決起集会)や記者会見での発話は1分間に100〜120語程度まで落ちることが珍しくありません。一言ひとことを噛みしめるように区切り、文と文の間にたっぷりとした「間(ポーズ)」を取るため、リスニング時に頭の中で日本語に変換する余裕すら生まれます。