「洗車機を使うと愛車に無数の細かい線傷(スクラッチ傷)がつく」という言説は、昭和から平成初期の記憶を持つドライバーの間で今なお根強く信じられています。しかし、洗車機メーカーや石油元売各社の技術革新により、現代の洗車事情は劇的に変化しています。
洗車機で車に傷がつかない理由は主に3点あります。第一に、旧来の硬いプラスチック製ナイロンブラシは淘汰され、現在は微細な気泡を含む柔軟な「発泡ウレタン(スポンジ樹脂)ブラシ」や特殊不織布ブラシが主流になっている点です。塗装面への打撃圧力が大幅に低減され、摩擦による傷の発生を極限まで抑えています。
第二に、コンピュータ制御によるデジタルセンサーの進化です。車両の形状を3次元でミリ単位計測し、ルーフスポイラーやエンブレムの凹凸を正確にトレースしながら最適なブラシ接地圧をキープします。
第三に、ブラッシング直前にボディ全体へ大量の水を噴射し、表面のホコリや砂粒子をあらかじめ洗い流す高圧プレウォッシュ工程が標準化されたことです。傷の原因となる最大の要因は「ブラシの硬さ」ではなく、「塗装表面に残った砂粒をブラシで引きずること」にあります。したがって、目に見える泥や小石がボディに固着している場合は、洗車機に入る前に給油所備え付けのスプレーガンやバケツの水で軽く泥を落としておく(予洗い)だけで、傷のリスクは限りなくゼロに近づきます。