ネットニュースで華々しく報じられるメジャーアイドルの移籍の影で、より深刻な問題を孕んでいるのが地下アイドル出身者のAVデビューです。ライブハウスを拠点とする地下アイドルの世界は、参入障壁が低い一方で、芸能プロダクションとしての体を成していない悪質な運営会社が少なからず介在しています。
取材によって明らかになった現場の実態は極めて過酷です。多くの地下アイドルは月給数万円から完全歩合制で拘束され、チェキの売上ノルマを課されます。ノルマ未達分を「レッスン費」や「衣装制作費」として事務所側から借金化され、精神的・経済的に追い詰められた少女に対し、提携関係にあるスカウトや事務所幹部が「手っ取り早く借金を完済し、まとまった資金を作る方法」としてAV出演を持ちかけるケースが長年問題視されてきました。
これに対し、SNSやネット掲示板の反応も時代とともに大きく変化しています。2010年代初頭のネット上では、元アイドルの転身に対して「裏切り」「失望した」といった男性ファンの感情的なバッシングが主流を占めていました。しかし、2020年代半ばから現在にかけては、芸能界の労働問題やジェンダー観への意識向上、さらには自己決定権の尊重という文脈から、「本人が納得して選んだ道なら応援する」「搾取的な事務所から逃れるための手段なら誰も責められない」といった共感や冷静な視向が急速に広がっています。
ファン側が「清純な偶像」を一方的に押し付けるのではなく、表現者自身のリアリティや生活者としての選択を受け止める成熟した視線が形成されつつある点に、エンタメ消費のパラダイムシフトが見て取れます。