歴史的なエピソードだけで、20年以上にわたり満席を維持することは不可能だ。グローバルダイニングが手掛ける権八の真骨頂は、ゲストの五感を揺さぶる「体験価値の設計」にある。
店内は、江戸時代の宿場町や芝居小屋を彷彿とさせるノスタルジックな巨大木造建築。1階中央には炭火の炎が上がるオープンキッチンが配され、調理の音、香ばしい煙、スタッフの張りのある声が空間全体に対流している。単に食事を提供するのではなく、日本の伝統的な活気そのものをエンターテインメントとして浴びる設計がなされている。
サービス設計の巧みさも見逃せない。株式会社グローバルダイニングは創業期から多国籍なスタッフ雇用やバイリンガル対応を積極的に進めてきた企業であり、英語でのコミュニケーションやアレルギー対応、ベジタリアンへの配慮が極めて円滑に行われる。訪日旅行者にとって「本格的な和食の雰囲気を味わいたいが、言語の壁や注文の難しさには直面したくない」という心理的ハードルを鮮やかに解消している点が、外国人観光客に絶大な支持を受ける決定打となっている。