取手八坂神社例大祭の神髄といえば、市内外にその名を轟かせる「荒みこし(あらみこし)」の渡御です。神社の由緒を紐解くと、天和年間(1680年代)に端を発し、実に300余年ものあいだ町衆の手によって受け継がれてきた格式高い神事であることが分かります。
重厚な本神輿を担ぎ上げるのは、白装束に身を包んだ約80人の威勢のいい若衆たちです。「ソイヤ、ソイヤ」の勇ましい掛け声とともに、神輿が激しく左右に揺さぶられ、時に天を突くように高く掲げられる光景は息を呑むほどの迫力を放ちます。取材に答えた地元青年会の古参担ぎ手は、その厳しさと誇りを次のように語ります。
「取手の神輿はただ担いで歩くだけじゃない。神霊を激しく揺り動かすことで神威を高め、無病息災と地域の繁栄を祈る伝統の荒行です。肩の激痛や疲労を吹き飛ばす一体感は、一度入ったら一生抜け出せない魅力があります」
この荒神輿が最も激しく練り歩くのが、祭り最終日(8月3日)の夜です。日没を迎えると、提灯に火が灯された神輿が旧水戸街道の熱気を一身に集めながら神社へ向かう「宮入り」のシチュエーションは、観客のボルテージも最高潮に達します。
神輿渡御の興奮と両輪をなすのが、取手祇園祭を彩る屋台グルメの数々です。出店エリアは「取手駅東口駅前広場から八坂神社へと延びる通り沿い」に集中して形成されます。定番の焼きそば、たこ焼き、りんご飴といった懐かしい露店はもちろんのこと、近年では茨城名物の常陸牛串や地元ブルワリーのクラフトビールを扱う店舗も増え、食べ歩き目当ての若者や家族連れで終日賑わいを見せています。