IWGPのキングが放った数々のセリフは、20年以上経った現在もネットミームやカルチャーの引用句として生き続けています。なかでも第1話から視聴者の倫理観を揺さぶったのが、次の名言です。
「悪いことすんなって言ってんじゃないの。ダサいことすんなって言ってんの」
このセリフは、法律や大人の社会通念とは異なる「ストリート独自の規範」を象徴しています。善悪の二元論ではなく、美意識(スタイル)が行動の基準であるという姿勢は、当時の思春期の若者たちに強烈なシンパシーを与えました。万引きや老人への暴力といった弱者を虐げる行為を「ダサい」と断罪し、仲間や街を守る誇りを優先するタカシの美学は、G-Boysという巨大組織を統制する唯一絶対のルールとして機能していたのです。
また、「ブクロ最高ー!」「マコちゃん、ジェシーって誰?」といった脱力感のあるフレーズも、張り詰めたサスペンスの中に独特の脱力とグルーヴ感をもたらしました。タカシの言葉は、宮藤官九郎が紡ぐ言葉の妙味と、窪塚洋介の天性のリズム感が融合して生まれた奇跡的な口語表現だったと言えます。