先人の合理的な知恵として誕生した流れ橋ですが、平成から令和にかけての異常気象は、従来の想定を遥かに超える頻度で牙をむいています。過去の統計と修繕にかかる実費データを整理したものが以下の比較表です。
過去、2011年から2014年にかけて4年連続で流出した際、京都府庁内および議会では「コンクリート製の永久橋に架け替えるべきではないか」という抜本的見直しの議論が巻き起こりました。当時の試算では永久橋の建設に十数億円以上の投資が必要とされる一方、毎年数千万円の復旧費を払い続けることに対する納税者の不満も無視できないレベルに達していたためです。
検討委員会による長期的な議論の結果、選ばれたのは「全面的な永久橋化」ではなく「伝統的景観を維持した構造強化」でした。2016年春に完了した大改修では、橋面全体の高さを75センチメートル引き上げることで冠水頻度を約半分に抑制。さらに、最も損傷を受けやすかった木製橋脚の内部にコンクリート杭を打ち込み、周囲を木材で覆う「ハイブリッド構造」を採用することで、景観と耐久性の両立が図られました。