名画の前に立つ者を一瞬で引き込む理由の一つが、緻密に計算された構図の秘密です。画面全体の消失点は、中央に座るイエスの右こめかみに正確に集約されています。天井の格間や左右の壁に掛けられたタペストリーの直線はすべてイエスへと収束し、鑑賞者の視線を自然と中心へ誘導する構造です。
さらに画面全体は、キリスト教において「三位一体」を象徴する「3」という聖なる数字によって支配されています。12人の使徒は左右それぞれ3人ずつの4つのグループに整然と配置され、背後の窓も3つ並んでいます。一方で「4」という数字(四季や四元素などの現世を象徴)も組み合わされており、聖なる世界と俗世の調和を幾何学的に表現したダ・ヴィンチの数学的知性が光ります。