ネット上には「どこからでも綺麗に見える」という楽観的な情報が散見されますが、実際の鑑賞体験には天と地ほどの差が存在します。特に熱海特有の急峻な傾斜地と海岸線の位置関係は、視覚と体感音響に劇的な違いをもたらします。
メインエリアである熱海サンビーチ鑑賞エリアは、海風を感じながら砂浜に腰を下ろして観賞できる王道スポットです。台船からの距離が近く、視界いっぱいに広がる光のシャワーと、海面に映り込む逆さ花火を鑑賞できます。ただし、夏休み期間中は波打ち際まで敷物で埋め尽くされ、花火終了直後には数万人が一斉に狭い階段や出口へ殺到するため、移動の自由が完全に奪われるという大きな代償を伴います。
一方、観光客が見落としがちな熱海花火大会穴場スポットとして地元で定評があるのが「サンレモ公園」や「マリンスパあたみ周辺」です。打ち上げ台船からはわずかに西側に外れるものの、サンビーチほどの殺人的な混雑はなく、比較的落ち着いて夜空を見上げることができます。さらに、高台から見下ろす「熱海城」の展望スペースは、熱海の夜景と大輪の花火が同心円上に重なり合う絵画のような美しさを誇ります。ただし、山肌に遮られる影響で身体の芯を震わせるような爆音の体感強度は平地より減衰するため、「音の迫力を取るか、混雑回避と夜景の優雅さを取るか」というトレードオフの理解が欠かせません。