金融車の購入を検討する人が最も誤解しやすいのが、「乗っていればそのうち自分の名義に変えられるのではないか」という点です。道路運送車両法および日本の民法上、金融車の名義変更は絶対に不可能です。
自動車の名義変更(移転登録)を陸運支局で行うには、車検証上の所有者の印鑑登録証明書、実印が押印された譲渡証明書、および委任状の原本が不可欠です。しかし、金融車の法的所有者はローン会社や元の所有者であり、ローンが完済されていない以上、信販会社が譲渡書類を発行することは100%あり得ません。元の使用者も夜逃げや音信不通になっているケースが大半であり、正規の書類を揃える手立ては完全に閉ざされています。
また、混同されがちな存在に「質流れ車」があります。両者の法的位置づけは根本的に異なります。
正規の質屋が質屋営業法に基づいて取り扱う「質流れ車」は、持ち主が自ら所有権を持つ自動車(ローン完済済みで本人名義の車)を質入れし、流質期限が切れたことで質屋に正当に所有権が移転した車両です。この場合、必要な譲渡書類が揃うため合法的に名義変更が可能です。一方の金融車は、信販会社に無断で担保化・転売された違法性の強い車両であり、法的な権利関係が完全に破綻しています。