ミレニアム前夜の1999年から2000年代初頭にかけて、伊勢谷友介の名をカルチャー層だけでなく日本全土のお茶の間に知らしめたのが、週刊誌による熱愛スクープでした。そのお相手こそ、当時国民的トップアイドル・女優として社会現象の渦中にいた広末涼子です。
報道各社がこぞって報じたのは、都内・代官山の街をスクーターで二人乗りする姿や、自然体で寄り添いながらデートを楽しむ日常の一コマでした。当時の広末涼子は、多忙を極めるプレッシャーと世間の過剰な好奇心に晒され、精神的にも極限の状態にあったと後に回顧されています。一方の伊勢谷は、まだメジャー芸能界の垢に染まっていない藝大大学院生にして気鋭の表現者。華やかな芸能界の論理とは全く異なる価値観を持つ伊勢谷の自由闊達な世界観は、重圧に喘いでいた彼女にとって大きな安らぎとなったことは想像に難くありません。
取材陣に囲まれても卑屈になることなく、凛とした態度を崩さなかった伊勢谷のスタンスは、芸能ゴシップという下世話な消費を拒絶するような気高さを纏っていました。二人の関係は数年の時を経て静かに終焉を迎えましたが、平成カルチャーを象徴するトップアイコン同士の恋は、世紀末のメディア狂騒曲のなかでひときわ鮮烈な光を放ち、今なお「伝説の美男美女カップル」として語り草となっています。