「鬼の撹乱」は誤用?意味と語源・目上に使えない決定的な理由

「鬼の撹乱」は誤用?意味と語源・目上に使えない決定的な理由

「鬼の撹乱」は誤用?意味と語源・目上に使えない決定的な理由の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

「鬼の霍乱」とは、「普段はきわめて頑丈で病気知らずの人が、珍しく病気にかかって臥せってしまうこと」のたとえです。では、なぜ恐ろしい形相の「鬼」と、聞き慣れない「霍乱」という言葉が結びついたのでしょうか。その背景には、日本の医療史と過酷な気候風土が関係しています。

古来、中国や日本の伝統医学において「霍乱(かくらん)」とは、主に夏場に発生する急激な体調異変を指す病名でした。「霍」という漢字には「にわかに」「急に」という意味があり、急激に乱れる病、すなわち日射病や熱中症、暑気あたり、さらには激しい嘔吐や下痢を伴う急性胃腸炎(コレラなどの感染症を含む)を総称していたのです。

医療や衛生環境が未発達だった時代、夏場の急病は命を落としかねない恐怖の対象でした。あの人間離れした強靭な体力を持つ「鬼」ですら、ひとたび霍乱にかかれば激痛と脱水症状で苦しみ悶えるということから、「めったに弱音を吐かない屈強な者が珍しく重病にかかる様子」を形容することわざとして定着しました。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。